英語名言で朝活

• (2021-06-16 10:14:32)

ベストセラーで読むアメリカ
2017年10月5日
トランプの元側近・バノンの恐るべき正体
世論操作の実態、主力メディアを手玉にとった深謀
■今回の一冊■
Devil's Bargain
筆者　Joshua Green
出版社　Penguin Press


この本はJoshua Greenさんによる著作。2016年の大統領選の参謀だったバノンを追ったドキュメンタリー。

2017年くらいに、トランプにホワイトハウスの首席戦略官を解任されたニュースで、ボクはバノンという人を知った。CNNで大きな騒ぎになっていたので、どんな人だろうと思った。

CNNの報道は英語なので、大雑把にしかわからない。さらにバノンの人物像や背景を知らないので、ますますわからない。印象として、家康の参謀である怪僧天海のような人ではないかと感じた。オルタライト系の極右サイト「ブライトバート」の設立者である。この本によると

Trump wouldn’t be president if it weren’t for Bannon.
(バノンがいなければ、トランプは勝てなかった)

不気味な話であり、庶民にはうかがい知れない話である。森川さんの解説は、それが作者の発言か、バノンのものか不明なものが多い点が残念である。

作者のJoshua Greenさんは、トランプを嫌っている印象で、トランプのダメな点を強調する傾向にあるが、バノンの発言は中立的な立場での意見のように聞こえる。彼は解任された後もトランプの応援をしたいと言っており、トランプが好きかどうか別として、向いている方向は同じようだ。

トランプ・タワー

次の文は、トランプの性格を物語る一例としておもしろいので、訳もそのまま森川さんのものを引用した：

Like its namesake, Trump Tower is given to hyperbole. Its southwestern facade folds, accordion-style, so that the building magically produces dozens more corner offices and apartments than a typical glass slab. Although the top floor is labeled as the sixty-eighth, this is an illusion— a flight of stairs outside Bannon’s fourteenth- floor office leads down one level, directly to the fifth floor. Trump skipped over numbers when labeling the floors, which is how a building that the city records as having only fifty-eight floors was able to sell the more exclusive and expensive (but fictitious) floors fifty-nine through sixty-eight.

「その名を冠する人物と同じようにトランプ・タワーは誇張の塊だ。南西向きのビル正面はアコーディオンのように幾重にも折れ曲がっている。おかげで、普通に外壁を平面にするより何十も多くのオフィスや居住用の部屋を角部屋にできるのだ。最上階を68階と銘打っているのも騙しが入っている。バノンの14階のオフィスを出て階段でひとつだけ下の階に下りるとすぐ5階になる。トランプは階数をつけるときに数字を飛ばしている。だから、市当局の記録では58フロアーしかないビルなのに、より高級で高額の（しかし虚構の）59階から68階の部屋を販売できたのだ」


この文は作者の意見と思われる。トランプへの軽蔑がよくでている一方で、トランプのせこさもよく出ている。ボクも金ピカのトランプタワーを見た第一印象が成金趣味だと思ったので、ここは笑えた。

AN OPPORTUNIST

次の二文は、バノンの発言だろうか？もしそうなら、これがトランプの実像ではなかろうか。

Trump doesn’t believe in nationalism or any other political philosophy — he’s fundamentally a creature of his own ego.
(トランプは国粋主義者ではないし、政治的な信念があるわけでもない)

At heart, Trump is an opportunist driven by a desire for public acclaim, rather than a politician with any fixed principles.
(トランプの本心は、大衆の喝采を浴びたいだけの日和見主義者である)

GAP

どのようにライバルのヒラリー・クリントンを倒すかという作戦に関して、メディア操縦の取材は詳細でリアルである。

その手法のメインとして、「GAP」(Government Accountability Institute)というNPOを設立したこと。

森川さんの訳では「政府の責任追及研究所」となっている。ネーミングだけでは中立な組織だが、やっていることはライバル陣営の不祥事調査であり、そそれをNewsweek、ABC、CBSなどの米国のメジャーなマスコミに流して、まんまとマスコミが、バンノの策略の片棒を担ぐ結果となったことが書かれている。

極端な情報を流すであろうブライトバートより、ABCやCBSで取り上げられることの影響は多大である。

GAPの説明が下記：

Established in 2012 to study crony capitalism and governmental malfeasance, GAI is staffed with lawyers, data scientists, and forensic investigators and has collaborated with such mainstream news outlets as Newsweek, ABC News, and CBS’s 60 Minutes on stories ranging from insider trading in Congress to credit-card fraud among presidential campaigns. It’s a mining operation for political scoops that, for two years, had trained its investigative firepower on the Clintons.

バノンの信念

最後にバノンの基本理念が書かれているパート：

Bannon believes that the rise of nationalist movements across the world, from Europe to Japan to the United States, heralds a return to tradition. “You have to control three things,” he explained, “borders, currency, and military and national identity. People are finally coming to realize that, and politicians will have to follow.”
(国粋主義者の台頭は伝統への回帰の前触れである。これを推し進めるためには、三つのことをコントロールすべきである・・国境・通過・軍隊と国のアイデンティティ。人々はこのことに気づきつつ、政治家はこの流れに乗ることになる)

トランプは確かに国境に関していろいろ過激なことを言っていた。

「three things」と言っているが、国境・通過・軍隊・アイデンティティの四つがあげられている。正直、ピンと来ないが、まさにグローバリズムの正反対なイメージである。

ボクは、バノンという人は、実に興味深いと思う。原書を読んでみたいが、地獄になるのでやめておこう。

今日選んだコトバは、人々は結局それを理解するようになり、そして、そうなれば、自分の信念がどうであれ、政治家もそれに乗るしかない、という一文。後半の部分の「民主主義のワナ」が好きな部分。

「人々がそれを理解する」とは、グローバリズムの危険を差していると思われるが、中国の帝国主義的野望が、危険な水域に来ている現状、共感する人々が増えはじめている気がする。

People are finally coming to realize that, and politicians will have to follow.

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