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ドメイン名の取得リスクと廃止リスク
  • (2022-11-23 10:41:20)

運営していたニッチなドメインの話


数年前の経験だが、あるドメイン名を取得しあるテーマで数十ページを公開していた。

その分野はニッチだったので、そのテーマではGoogleさんの評価も高くそこそこ上位表示だった。

トラフィックは調べたことがないが、まあ、Google検索でトップページに来るので多少あったのだろう。

数年運営して、そして気持ちも冷めて更新しなくなり維持するモチベーションも失われた。


運営実績があるドメインは廃止で第三者に渡る


しばらく放置していたが、ある年の契約関連の棚卸しのときクローズすることにした。

コンテンツはいちおうバックアップしたが、使うあてはなかった。

ところが、おもしろいもので廃止から数ヶ月して、何かのキッカケで「あれは必要だ」と思い直し、同じドメイン名を再取得しようと思い立った。

記憶が定かでないが、廃止からわずか数ヶ月のこと。

他人が使いそうなドメイン名でないし、まさか他人に取られているとは思わなかったが、そのまさかだった。

元マイドメインを見に行くと第三者によるサイトではなかったが、リセール業者のページになっており、ボクのドメインは売り出し中だった・・・ドメインを廃棄すると何が起きるのか、どうなるかを体験した瞬間だった。


昔は和やかだった


実は2000年代の前半、あるドメインを取得したものの使い途がないと廃棄したことがある。

そのドメイン名を数年後、またほしくなり再取得できるか?と調べたら偶然できてしまった。

だから、その時の体験から「ドメイン名は一度放棄しても再取得できる可能性がある」と誤解した。

実際、廃棄されたドメインは人気があるドメイン名でない限り、第三者が失効後即座に取得するという状況は多くなかった。

しかし、何年か運用された中古ドメインの価値がネット上、(どちらかと言えばアンダーグラウンド的な活動をしている人々の間)で認知されるようになると「ビジネスとして」それを狙う層が生まれたのだろう。


ドメイン名が残る媒体


JPRSのドキュメントを参考に書くとこんなものが残る:

 ・検索エンジン

 ・他のWebサイトからのリンク

 ・個人orパブリックなブックマーク

 ・DNS設定

 ・アカウント情報(メールアドレス等)


このうち「DNS設定」に設定が残された場合のリスクが、私には具体的にイメージできない。

通常のレジストラのDNSならドメインが廃止された際、当然、いっしょに設定を消去していると思うけど、しないのかな?

レジストラがドメイン名廃止の際、どんな作業をするのか不明だが、倫理的に考えても設定消去は当然必要なように思うが、されないこともあるのかもしれない。

また個人のDNSサーバだと忘れる人もでてくるだろう。

DNSに設定が残れば、当然、意図しないIPアドレスを通知されるわけだが、実際のそのウソIPアドレスに飛んだところで、通常のレンタルサーバなら共有サーバなので表示のしようがないと思う。


廃止ドメインのリスク


失効したドメインは第三者に取得されて既存トラフィックを利用されるリスクがある。

自分が知っているブランドだと思ってクリックしたら、まったく無関係なブランドが出現したと消費者が感じたとき、どう思われるだろうか。

とくにブランドを大切にしている企業には痛手である。

「あれ、このドメインはもう○○のドメインでないのか」と判断してくれればよいが、混乱を招いたり、場合によってはよくないイメージを消費者に与えかねない。

運が悪い場合、古いトラフィックを利用した悪意あるフィッシングサイトになっているリスクさえある。

こうなるともはや「悪いイメージを与えかねない」レベルでなく、自社の顧客を犯罪にさらすことにもなりかねない。


永続性が薄いドメインでメールアドレスを作らない


廃止しないドメインなどはないだろうが、永続性に自信がないなら、そのドメイン名でメールアドレスを作るべきでない。

メールアドレスは様々なサービスのIDや連絡先として利用されるので、ドメインを廃止すると、それらのサービスも利用できなくなる。

それどころか、廃止後第三者によって取得されると、そのメールアドレスで登録していた様々なサービスにログインされ、アカウントを詐取されるリスクもある。

永続性が弱いのなら、そのドメインでは絶対にメールアドレスを作るべきでない。


ドメイン取得時に決めておく


「いつまで維持するのか?」「いつクローズするのか?」はドメインの取得時に決めておきたい。

ドメインだけでなく、すべてのモノの購入、すべての契約、すべての約束にも当てはまる。

人間の体質として、終わるときのことは考えずに、そのモノが手に入ったときだけのことを考えて行動することが多い。

たとえば、新しい生活のぼんやりしたイメージだけで車や家を買う人は多いし、綿密なプランもなしに投資として不動産を入手する人も多い。

不要であれば、小さなモノならだいたい捨てられるが、不動産となると捨てられないし売るに売れないケースも案外多い。

値上がりや高く転売することを夢見て買った不動産だが、売れないときのことは想定していなかったという素人投資家の事例は実際に案外多いようだ。

そして、本人が亡くなっても遺族の中にも引き取り手がなく相続拒否される土地も多い。

こうなると自分だけでなく遺族にまで迷惑が及ぶことになる。


一過性ドメイン取得のリスク


大企業さんだと新製品やイベントのためだけに新規ドメインを取得するケースがある。

キャンペーンやイベント終了後、どうするのか事前に決めて取得すると思うが、廃止のタイミングや廃止方法まできっちり見通して取得しているだろうか?

(見落としている企業さんも多いのでは?)

ドメインの廃止はブランド名が刻印された印刷物や廃棄物同様、廃棄には気を遣うしコストがかかる。

短期間で廃棄するつもりなら、そもそも新規取得はせず、既存の永続性のあるドメインの下部にそのキャンペーンなどのページを作成した方が有利に思える。


ドメイン取得があまりにも簡単だから・・


ドメイン名の取得は安価でしかも簡単・即座にできる。それに加え現在ではあまりにもドメイン名のバリエーションが増えてしまった。

よいことではあるが、ついつい軽い気持ちで余計なドメイン名までも取得しがちという副作用も大きい。

さらに似たようなドメイン名のバリエーションが量産されるので、ブランド保護のために自社のドメイン名に似たバリエーションを大量に取得する負担も発生している。


不動産のように一度取得したら・・・


ドメインは一度取得したら長期に維持するものを考えるべきである。

そうすると当然、長期に一定の固定費が発生する。

そういう覚悟と経済的耐性を準備して取得すべきである。

自社ドメインに関連するドメインは使わないにしても近似するドメイン名であればある程度取得してバルクで維持することがブランド全体の価値保全となる。

だから、取得するドメイン名はどんどん増えることになる。

ただでさえ、大量のドメイン名を取得・維持しなければならないこの時代、ムダに無用な新規ドメイン名を増やすことは自分から負担と危険を招く結果になりかねない。


ブランド保全のためだけに取得したドメインはこうする


(1) メールアドレスを作らない
(2) トラフィックを生まない
(3) デフォルトでメインドメインに「301レダイレクト」(恒久的的転送)をかける

一言で言えば「誰にも使わせない」措置を取ること。

「ブランド保全のためだけに取得するドメイン」とは第三者が自社のドメイン名に似た、消費者に誤解を与えかねないドメインを取らせないことが第一の目的。

しかし、廃止時を想定して、メールアドレスなどIDになる可能性のものを存在させないようにしたい。

トラフィックもないのならいつ廃止しても、どうしても自社の他の生きているドメインへの影響もない。

そのためには何かコンテンツを置き、かつ他の生きているサイトからリンクなどを張らないようにしたい。







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