ブランド離陸、主婦の活用がカギ?
  • (2011-11-08 05:11:12)

企業の「主婦は使えない」という発想はかなり時代遅れ(2011/11/08)

芸術やブランドを育成する女性達

先日の「夢の対価を快く払う日本の女性」は芸術やブランドの育成に日本の女性が大きな役割を果たしていることを書いた。

彼らはそれだけではない。彼らは日本経済再生のカギかもしれないと感じるようになった。ブランド構築を試みる企業なら、ブランド商品を消費するだけでなく作り出す側としても有効な存在と考える。

悲惨な現実を明るく伝えるテレビ番組

数日前、テレビで『いきなり!黄金伝説 女芸人がお家でお仕事』という番組が放送されていた。チャネルを回していて偶然見入ってしまった。

・リボンシュシュ作り ・メタルシート切り取り ・アロマブロックの袋詰め ・コースター作り ・つけまつ毛のケースセッティング

どれも内職仕事。それぞれ5時間、実際にその内職をやってもらい、その成果が時給換算される内容の番組で、おおむね一人当たりの時給は200円程度。5時間で約1,000円である。

世の中にはカラクリがあると感じたあの頃

高校生のとき、新聞配達をしていた頃の自分とオーバーラップした。朝早起きして1-2時間程度働き、そのお金が学食の「うどん」一杯でなくなるという構図だった。新聞配達の代理店が搾取しているとは思わなかった。

ただ、お金を稼ぐことの難しさを知った。

さらに感じたことは世の中には自分が知らない資金の流れの構造があると感じた。何かカラクリがあると感じた。

嘆いても仕方ない

テレビ番組はそういう微妙な背景に迫ることなく家庭内内職の実態を明るく伝えることに終始していて好感が持てた。

時給200円は安すぎると思うが、賃金水準は自由資本主義経済の結果、導き出された水準であり安いからといって法律で最低賃金などを設定しても水の流れと同じで、どこかにしわ寄せが来る。

米国ではいち早く国内の産業空洞化が進んだが小手先の法律で対策してみてもマクロ的に、かえってバランスを壊す結果にもなりえる。

それよりもあの内職の主要な担い手であろう主婦層が自分の労働価値をどのように高めるか、という建設的な発想が必要かもしれない。

中小企業にシステム担当者の常駐は厳しい

ある日曜日、同業者の社長から携帯に電話が入った。仕事でオフィスにでてきたもののネットワークが動かなくて困っている、何が悪いだろうか?という趣旨だった。

その時は話を聞いているうちに自然と復旧したが、社長は今後のことも考え、トラブルのとき相談できるシステム担当者を常駐でなくコントラクトベースで置きたいので、相談に乗って欲しいと言われた。

その会社ではパソコンとソフトを一括して納入・メンテしている業者と契約している。会計ソフトなどの使い方やトラブルなどで問題があるとその業者がやってくる。

しかし毎月高額なサポート費用を払っている上に、システムやソフトのアップグレードや勧誘がうっとうしく、休日や夜間サポートはオプション契約となる。

要はめったに呼ばないのに、毎月数十万円のシステムサポート費用は固定費として負担が大きすぎるという不満だった。

「主婦」だから使えない?

話を聞く限りシステムのトラブル発生率は月間1回か2回。プリンタが動かないとかメールが送れないとか、そんな簡単なトラブルである。

その程度なら月額2万か3万も払えば、丁寧に対応してくる個人コンサルに心当たりがあるので「紹介しましょう」言うと、ぜひと依頼された。

後日、お会いした際、協議した。紹介しようとした人物が「主婦」であることが判明した瞬間、社長の表情から関心が引いた。話はそれきりとなった。

私は斡旋業者ではない。興味がなければムリに進める理由も動機もない。むしろその社長のためにわざわざしている話であり梯子をはずされたようで、自分のつまらない好意を反省した。

しかしその出来事はすごく印象に残った。

「主婦」だから使えないのだろうか?

なぜ「主婦」は使えない?

日本にはそんな発想が常識として存在しているようだ。主婦をコントラクトで採用する際、どんなデメリットがあるのか?

・主婦は働ける時間帯の制限が厳しい? ・主婦は家庭の都合でよく休む? ・主婦は子供の病気やイベントで突然休む? ・主婦はしょせん責任感をもって仕事できない? ・よって主婦は頼れない!

こういった感じか?もはや、最後は感情的でさえある。

「主婦は頼れない」という発想が日本の経営者やボスたちには心の中にインプットされている。当社も数人の主婦にパートタイムで来てもらっており、上記上から3つの「仕事を休む」という現象は比較的よく観察される。

しかし結論として「主婦は頼れない」という感想は抱いていない。「主婦は責任感をもって仕事ができない」も同様に共感しない。

使う側に問題はないのか?

自分のサラリーマン時代を思い出すと、運悪く私の上司たちは責任感が薄い人が多かった。どの会社に転職してもそう感じた。もちろん尊敬できる上司もいたが、そう簡単には巡り会えない。

当時は責任感の薄い上司を見て大の大人が「子供のように甘えん坊」なんだなと感じてたものである。自分の責任をかなり投げ出して部下に押しつける人々の多かったことよ。

彼らの関心は常に上を向いていた。ついでに言えば、責任を押しつけるのなら権限も譲渡すべきだが、そういう発想は薄いようだ。

(責任と権限はセットでしかるべきだろう)

これが日本のサラリーマン社会の文化か。課長が部下に対して甘えん坊なら、部長は課長に対して取締役は部長に対して・・・そんな連鎖の連続だった。

けっきょく誰も責任はとらない。どこに責任があるのかさえも不明。組織全体が伝言ゲームのようにクラウドだ。今回の東京電力の経営陣のような感じだ。幕末の頃の幕府側もこんな感じだったのか、慶喜もさぞ無念だったろう。

責任丸投げという発想を変えれば、見方も変わる

そういう文化に染まっている人なら、時間制約の多い主婦の採用はスタートラインから毛嫌いするのも当然だ。その心理もわかる。

日本では責任を丸々かぶってくれるような業者や社員が重宝がられる。よってよく休む主婦は「ハナから使えない」という理論になる、そして「連中はダメ」という感情になる。

しかし採用側が責任を丸投げせず、時間制約の中で働く主婦には決められた範囲で決められたことを正確・確実に処理してくれるだけでよいと考える場合、短時間で働く主婦の利用価値はぐんと上がる。

時間制約を柔軟に受け入れる体制

しかも世の中には時給200円の内職がごろごろしている。そんな現状があるので、時間制約を柔軟に受け入れる体制を企業側が整備すれば、時給1,000円や2,000円の仕事でも喜ばれる。

そしてかなり優秀な人材の採用も可能だ。大げさな言い方だが、日本経済再生は主婦の活用にかかっているのではなかろうか。

ブランド立ち上げ・構築の秘密兵器

ブランドを構築しようとする企業で言えば、最も困難でパワーとスタミナを要求される「ブランド離陸時」のスタミナ源として主婦が活用できるという事例を作りたい。

内職の実情が示すとおり、彼らは途上国並の低賃金で働く覚悟ができている。これは労働力価格が極端に高い日本では労働市場に残された数少ない宝の山。しかも、彼らにはアイデアがある。

中小企業には広告予算がない、販促費用もない、開発予算は限られている、のないないずくめ。そんな中小企業がブランドを構築するためには「アイデア」と「工夫」しかない。そういう点でも主婦は秘密兵器と思えて仕方ない。

彼らに最大限の効果を発揮してもらうためには第一に採用側の「責任丸投げ」という発想を変革する必要がある。スタートはここから始まる。

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