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「今、Twitterを使っていないヤツは手遅れ!」に脅されて
  • (2010-04-10 07:18:52)
Twitterのビジネス利用ってありだろうか?

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「今、Twitterを使っていないヤツはすでに手遅れ!」というあるビジネス系メルマガに脅されて調査を始めた。

Twitterは登録もスタートも簡単で、仕組み自体もシンプルかつわかりやすい。1日じっくり試用して考えてみた。Twitterとは何?自分や自分のビジネスに役立つのか?

Twitter、セキュリティとしてアカウント取得



Twitter。最近はテレビでも取り上げられる。社会認知度が8%を越えると影響力は大きくなるとかならないとか、昔どこかの社会心理学の先生が言っておられたような。

ドメイン名は社名や企業名が高く売れるということで、海外にはせっせと有名企業名を取得登録するような人々も大勢いて、有名になってきたTwitterも社名やブランド名は押さえていた方がよい(*1)かもしれないという思いもある。

(*1)社名・ブランド名を押さえたい「早い者勝ち」(First-come, first-served)型有名無料サービス(思いつく範囲で):

・Google(gmail)

・Yahoo!

・Twitter

・Facebook

・AOL

・Youtube

・GMX

・mixi

※心配で眠れない場合はナレッジ系コミュニティ(はてな、OKWebなど)も押さえておく

「つぶやく」=「送信」「配信」



「つぶやく」。技術用語では「送信」「配信」だが、Twitterではスターバックスのように新しい用語が採用されている。ブランディングもうまい。

「つぶやく」とは言うが、今までの「送信」「配信」と同じである。「メルマガ」や「メーリングリスト」、「RSS受信」、「ティッカー」、ニュースの「ヘッドラインサービス」と似ていると言うとしかられるだろうか?

メーリングリストとどこが違う?

自分には要は「メール」という基本インフラの派生バージョンに見える。双方向性ティッカー。メールがあまりにも凄すぎるインフラなので、当然その派生バージョンがあってもよい。

ここが違う凄さ:過剰情報に対するアンチテーゼとコミュニティ文化



メールと違う点:

・140字制限(GMSのSMS文化の流用らしい)

・RTコミュニティ文化

自由度の高すぎるメールに対して、要点だけを伝えるTwitterは字数制限にむしろ価値を見いだす「俳句」に似ている。コミュニケーション方法としては刺激的でおもしろい。遊び心がある。

字数制限なし、なんでもありのメールに対して、Twitterは「過剰情報に対する反動・アンチテーゼ」とも考えられる。俳句的遊びツールとも。身内同士のお気楽会話ツール。

よって、文体もビジネスフォーマットをなす必要がない。短パン・ジャージ・寝間着型コミュニケーションツール。

もう一点、関心した点が、RTという機能。知らない人同士が「友達の友達」という媒体を通じて話題をほぼリアルタイムに共有する仕組み。

しかも全世界レベル。

これはマーケティング的に見ると革命的であり、恐ろしい現象。人類が体験したことがないような瞬時の力学が発生する可能性を秘めており、群集心理力学としてとんでもないことになるポテンシャルを感じる。

今後Twitterを媒体とする大事件が発生し、社会心理学者の大きなテーマになる可能性が高い。

Googleも認めるTwitterパワー



GoogleがTwitterのリアルタイム検索に対応したというニュースを知り、これは凄いことになりそうな気配。

米Google、リアルタイム検索が日本語対応、Twitterを数分内に検索可能

Twitterに最大の恩恵を受ける人々



Twitterは技術的には革命的でないにしても、オバマ大統領を取り込むなど文化的には革命的なツール。最大の恩恵を得る人々:

・芸能人や有名人・・・ファンとのつながり強化

・教祖様・・・信者リテンション

アイデア不足:現時点では思いつかないビジネス利用(私の場合)



逆に私の場合、ビジネス利用には懐疑的だ。プレゼント企画など顧客に喜ばれそうな情報の配信に利用できそうだが、そういう使い方はあまりにも凡庸。革命的で遊び心満載のTwitterのメリットは何も利用していない。

TwitterにはRTというコミュニティ文化がある。これを刺激するコミュニケーションができるのならビジネスツールとしてはおもしろい。

しかし、純粋なコミュニティにビジネスが入り込むという行為自体、すでに何かがズレている。

たとえて言えば、コミケで、会の趣旨とはまるで無関係な雑貨にアニメツールを貼っただけで喜々として売っている社長さんたちの光景はどうだろう。

神聖なコミュニティに土足で上がり込む行為にも感じる。ビジネスの運営者として配慮不足のような気もする。

ある新聞社はヘッドラインサービスとしてTwitterを利用しているが、なぜあえてTwitterである必要があるのだろうと思う。

そこに読者がいるから?

遊び心があるTwitterだから、もう一ひねり欲しいところではなかろうか。もし私がその新聞社の社長なら担当部下にそうつぶやく(自分ができないくせに、上司はそうつぶやくもの)。

Twitterのビジネス利用事例、それが成功事例?



Twitterのビジネス利用成功事例に、よくDELL社のアウトレット製品販売が引き合い出される。目先の多少の売上げ増減などDELL社の遠大なブランドビルディング戦略の中で意味を見いだせているかは不明。

DELL事例はセカンドライフの日産事例と似た構図になっている気がしないでもない。DELLさんも痛し痒しなことだろう。

こんな記事を見つけた。

「3年間でPCを300万ドル(約2.7億円)を売り上げ」たものの「売り上げは全体の0.005%」(Twitterは企業のマーケティングを変えるか 4月7日 ITmedia)

革命的なTwitterでプロモートするビジネスとしては数値は伸び悩み気味だろう。これは明らかに前座。まだTwitterプロモーションとは言えない。今後DELLが本気モードに入ったときのTwitter利用方法に目が離せない。

企業のつぶやきリスク



録音や録画を異様に嫌がる人は多い。昔は「魂が吸い取られるから」だったが、近年は記録が残ることに対する防衛策。リスク管理。

映像は言動破綻の証拠として攻撃材料にされることは政治家や総理大臣とマスコミの間の昨今の泥仕合で多くのビジネスマンが我が身のことのように感じているもの。

映像はおもしろおかしく編集可能なので、マスコミの手加減で操作されるリスクがある。「5月末解決」の動画も今後長い期間笑いモノ映像として流されるかと思うと気の毒だ。こんへんは役人ならぬかりないが、政治家の人々はやはり豪胆ではある。

Twitterも同じではなかろうか。Twitterは実名でつぶやくべき文化のように思うが、Twitterのつぶやきも未来永劫記録され、検索される可能性があることはとくに理解すべきところだろう。

ここがメールとは違う(もっともメールも実はどこかの政府機関によって全文盗聴・記録されているかもしれないが)。

Twitterの記録が一社だけに蓄積され所有権が認められ(るのではなかろうか?と憶測している。コンテンツの所有権の所在は不明。2次使用権の取り扱いについてmixi炎上が思い出される)、さらに公開のコントロールも一社だけの判断に委ねられているのも事前に理解すべき点か。

コンテンツ制作コスト:Twitter->メール->ブログ->WEBサイト->本



コンテンツ制作コストを考えてみた。

(Twitter)->(メール)->(ブログ)->(WEBサイト)->(書籍)

コンテンツ制作コストの切り口から考えると、制作コストがとにかく安いTwitterは参入しやすく制作しやすい。

そのためかなり生々しい生データがうごめく世界で、マーケティング的にはおもしろい。マーケッターが次に狙う市場の市場調査用の研究素材として価値がある。

コンテンツ制作コストで各媒体をランキングしてみると「本」がやはり最高のコスト高な媒体である。それだけにコンテンツの純度の高さが魅力的。

特にTwitterやブログが内容の薄い本を今後ザックリと淘汰してくれるはずなので、書籍の完成度はさらに上がる。多くの出版社や書店が市場から撤退する一方、書籍の価値はさらに高まると予想される。

Twitterの真価:コミュニティ文化



Twitterとは何?と考えてみた結論:

メールからはじまったコミュニケーションの通信技術が、どんどん進化し派生バージョンもどんどん生まれている中、Twitterはそのコミュニケーション通信技術の進化の過程で生まれるべくして生まれた一通信技術でありながら、その真価はコミュニティ文化にある。

真価が、コミュニティであるがために、企業ブランディングや商品ブランディングに心を砕く企業なら絶対にTwitterを安易にビジネス利用するような過ちは犯さないように思う。

コミュニティに貢献し、コミュニティのメンバーに知的なメリットを提供し続け、信用を得たのち、結果としてビジネスに返ってくることなら期待できるかもしれないが、少なくともTwitterの露骨なビジネス利用は甚だしい勘違いと思う。

予測



メルマガやRSS、mixiと同じく現行ブームは数年で収束し、その後は一部のユーザーによる穏やかな安定運行か。俳句は遊び心あってのコミュニケーション。ビジネスコミュニケーションを代替するツールにはならない。






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