携帯ネットショップ運営の心得
- (2012-10-10 06:48:05)
システムからのメール到達率が悪いケータイ
1番の問題がこれ。ケータイはメール到達率が非常に悪い。対面販売でないネットではコミュニケーションの維持が信用の基本、これがうまくいかない。
デフォルト到達しないと考えた方が早い。
auの場合はURLや電話番号(?)を本文中に入っているだけで拒否されるらしい。インターネットからのメールは基本的に全面拒否のポリシーなのだろう。迷惑メールに悩むユーザを思えば、この単純なポリシーも理解できるが、同時に全auユーザの不便さも相当のストレスだろう。
いつでも・どこでもショッピング、気軽さの功罪
「いつでも・どこでも簡単にショッピング」というケータイ特有のメリットが、逆にトラブルの要因になっている。
これをビジネスチャンスととらえるのもビジネスのスタイル。短期的には売上アップ、しかし長期的にブランド構築にはむしろ不利と判断する経営者もいるだろう。ここは経営判断が分かれるところか。「いつでも・どこでもショッピング」の反動がこれ:
・未払いが多い
・キャンセルが多い
・住所などの間違い・誤記・抜け
当社の場合、ケータイユーザの未払い率はPCユーザの2倍以上。後払いなので問題のタネになっている。多くの場合、意図的な未払いでなく忘れているだけの悪意のない未払いだ。
キャンセル作業はネットショップの大きな負担
ケータイユーザのキャンセルの多さも「いつでも・どこでもショッピング」の裏返しと解釈している。キャンセルは顧客の権利、いかなる場合でもキャンセル規定範囲内(もしくはそれに近い範囲)でのキャンセルは快くお受けすべきと心得ている。しかし、ネットショップ運営ではキャンセル作業は非常に大きな負担である。
また、ケータイユーザは注文とキャンセルを繰り返すパターンも多い。繰り返されるとどこまでが注文でどこまでがキャンセルなのか間違えやすいが、自分自身、はっきりしないユーザもいる。
キャンセルによる作業負担で一番嫌なタイミングは発送済み商品のキャンセル。当社の場合、キャンセル規定範囲外ではあるが、実際にキャンセル依頼は来る。何らかの事情がある場合はお受けするし、断るにしても対応には時間とエネルギーを消耗する。キャンセルをお受けする場合は宅配業者やクレジット決済会社への連絡や対応や手続きも含まれるため当社内で完結しないオーバーヘッドも見逃せない。
次に発送作業終了済みのキャンセル。作業を終わっているのでこの分の労働が無に帰す。発送作業が終了していないものでもデータベースの書き換えや更新などの作業が発生する。ときとして忘れやすい。そして、失敗すると間違って発送してしまうミスも発生しがちだ(そして、たまにやってしまう)。
キャンセルは顧客の権利であることを充分尊重しつつ「キャンセルが発生しない」運用・規定・システム・文化・雰囲気作りにショップが心を砕かない限り、ネットショップは立ちゆかない。
大切なので、もう一度。
「キャンセルが発生しないシステム」構築はネットショップの成功の鍵。
番地抜け・集合住宅の部屋番号抜けやミス
ケータイユーザの住所記述では番地抜けや記述ミスも多い。郵便番号である程度住所変換するショッピングカートがあると、もうダメだ。住所の記入ミスや記入漏れの発生率はPCユーザの200%程度か。
文字化け
ケータイユーザの文字化け率はPCユーザの1000%くらいだろうか。これはお客様の責任ではなく、キャリアがインターネットのデファクト的な文字コードを採用せず、半角特殊文字コードを採用していることによる構造的な問題。
舌足らずのケータイ文化
ケータイユーザに多い言葉不足・説明不足の文化もネットショップ運営にはコミュニケーションの障害になっている。
・意味不明のメール
氏名・案件名なしで「あれ、どうなりました?」のような謎めいた一文メールが多い。この文化は何年たってもなじめない。
電話されることが不愉快なユーザの存在
説明不足のメールが繰り返され、どうにも意味不明な場合、最終的には電話することになるが、出てもらえないことも多い。出てもらっても一方的に切られたことも何度か。電話されることが不愉快なユーザが多いのも携帯世代かもしれない。最近では電話はなるべくしないようにしている。
また自宅に電話するときは要注意だ。家族が出る電話は80%、怪しさ全開の対応で、神経がすり減る(こんな程度ではショップ運営は成り立たないが、人情として疑われるのは気分が悪い)。
電話で相手に用件を伝えるテクニック
「○○様のお宅ですか? ○○の誰々と申します」で会話を始めることは電話の常識的なマナーと思うが、今時この会話からスタートすると、だいたい氏名を名のり終える前に無言で切られる。
一度は「そんなのいらん!」と絶叫された上に切られた。いや、何かを売り込むために電話したわけではないのだが、と受話器に向かって独り言をつぶやくしかなかった。
日本中、本当にクズなスパム営業電話が横行している現在、人々のこの反応もわかる。しかし、ショップ運営者からすれば厳しい時代だ。
「○○様ですか?」でも切られる。
切られないためには相手確認も自己紹介もせずにいきなりこう言う:
「先日ご注文いただいた件でお電話差し上げております」
先方が自分からアクションを起こした件についての電話であることを明示するスタートがいい。しかし、この方法も、やがてはスパム営業野郎たちにスポイルされ、使えないテクニックになっていくだろう。とりあえず、現在はまだ聞いてくれる顧客が多い。
ケータイユーザの運営コストとリスク
つまり、ケータイユーザはビジネス対象としてはリスクとコストがPCユーザよりも非常に高い。統計的な数値は出していないが、体感的に4倍の時間・労力コストと及びトラブル発生率、2倍の未払いリスクがある。
ケータイしか使わない顧客の利便性のために「ケータイサイト」は残しているが、大きく商売すればするほど、ショップ運営のコストアップというジレンマ状態。
ケータイ顧客への正しいアプローチ
ケータイユーザに伴うコストやリスクの大半が「いつでも・どこでも簡単ショッピング」という環境の裏返しなので、対策は簡単。
・気軽さを演出しすぎないサイト
第一印象でサイトの雰囲気は伝わるもの。
・顧客の購買マインドを過剰に刺激しないサイト
テレビ通販のようにお囃子・希少性で顧客を煽って衝動買い誘発する販売スタイルは危険だ。購買マインドを刺激しすぎないサイト作り。
・一手間プロセスを入れる
ワンクリックで買い物が完了するような優れすぎた顧客動線を廃止する。注意事項を読んでもらうページを入れて「同意する」ボタンを1ついれるだけでも、顧客の購買マインドはクルーダウンし、何割かはカゴ落ちする。本当のお客様ならそこでは落ちない。
メール到達率を上げるための対策
とりあえずメール到達率を上げないことにはケータイサイトの維持はおぼつかない。
・ケータイからメールする・・・
PCメールをUSBケーブルでケータイにダウンロードできるソフトが市販されている。数種類のソフトを一時期利用していたが、使い勝手はビジネス用途からはほど遠い。
現在ではPCから会社ケータイに送信し、そこから手作業でお客様に転送している。全メールをこれでやると1日の作業がつぶれるのでトラブルが発生した場合にのみ。
・PCからケータイ経由でメール送信・・・
PCとケータイをUSBケーブルで接続して、PCからケータイを操作してダイレクトにメールを送信できる仕組みが一番美しい。しかし、キャリアがそんな柔軟な仕様を許すことはないだろう。ムリ。
・サードパーティ社による携帯メール専用配信サービスの利用・・・
ちょっと調べただけで数社のサービスがある。たいていは月額固定費が発生するため未だ試していない。使い勝手は期待していない。しかし、量が増えてきたら検討に値する。将来の話。
<< 掲示板CGIで作るアイデアボード< | >ブログ付きWebフレームワークBaserCMSを試す >>