「金賞」マーケティング
- (2011-09-26 07:10:08)
「それ以上」は、関心ないボクら
何年か前、中華料理屋さんではじめてサントリー・プレミアムモルツを飲んだとき、うまいなと感じた。
その後、広告で「金賞受賞」と謳っていたので「そうか、どっかのコンクールで賞をとったのか」と納得した。
「どっかのコンクールで賞をとったのか」は、多くの人に共通したごく一般的な反応だろう。
「それ以上は関心がない」ボクら消費者を前提としたマーケティングだ。そこが重要だ。なぜなら、大半のマーケティングはそういう人々をターゲットにしているから。
ところが、そのコンクールがたまたま「モンドセレクション」だったことを知ったとき自分は腰を抜かした。
「あのサントリーが、まさか」である。
カネさえ払えば、誰でも金賞のモンドセレクションである。
テレビで、執拗に繰り返し、日本の全国民に対して自慢できる賞とはどうしても思えない。
ひょっとして、サントリーは日本国民をバカにしているのではないか。あの人たちは日本が嫌いなのかもしれない、とも感じている。
スーパーは「金賞」商品であふれる
あれから何年だろう、大変な販売効果があるのだろう。現在も「金賞受賞」を叫び続けている。
そして、サントリーに習ってか、全国の中小の知らない食品会社も続々と「金賞受賞」を謳う。スーパーに行けば今では「モンドセレクション金賞」がズラリだ。
米国系やヨーロッパ系企業なら、こういうマーケティングは採用しないだろう。「それ以上」に関心がある消費者を無視するマーケティングは危険だ。モンドセレクションの出品国もほぼ日本企業で占められている事情も察しがつく。
目先だけの売上が欲しい企業がやるべきマーケティングであって、サントリーのよな大ブランドさんが行うこと自体が大いなる謎であり、むしろ背景にどういう切実な事情があるのか・・・
権威付け=効果的なマーケティング
「モンドセレクション金賞」の売上効果の数字は知るよしもないが、綿々と続けられる「金賞」キャンペーンを見る限り大成功なのだろう。
「権威付け」がいかに効果的なマーケティングかを実証した実例としてマーケティング史に残るだろう。
「モンドセレクション金賞受賞」の権威付けをした場合と、しない場合の売上の比較データがあれば、かなり理想的なマーケティング教科書の題材になる。
また何年かすれば、ブランドとしてこのキャンペーンがブランド価値にどよのうな影響を及ぼしたか、マーケティングの先生方の絶好の研究素材になるだろう。
個人的には、サントリーには不快な印象が心に残った。
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