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「消込」ではまる日々
  • (2009-10-25 07:57:55)
企業にとって無駄に負担が大きい「消込」作業

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ビジネスに定型業務は多い。たとえばご入金の確認。通販業務では毎日これをやる専任の人を置いている会社は多い。

銀行振込だったら、インターネットバンキングで入金データをダウンロードし「消込」(入金と売掛金・債権の突合せ処理)を行う。

私は長い間「消込」をいうコトバも作業も知らなかったが、通販ビジネスに関わるようになってはじめて体験した。そして日本の決済システムの惨状を知った。

通帳に記載される内容は

  • 振込日

  • カタカナ氏名

  • 金額

    残念ながら一意でユニークな「取引番号」がない。10ケタ程度の数字でもいいしIDでもいい。何か確実に一意に特定可能な規定定桁数の記号があればいいのだが。

    金額・カタカナ氏名は同姓同名も存在するし、金額も同じ数値が多数あり、どれがどの振込分か特定が案外際どい。しかも手元にある注文伝票に記載されている氏名は漢字。カナカナでやってくる氏名と漢字氏名をシステムでマッチングするにもワンアクション増える。

    氏名も微妙に変化している場合があるし(氏名の入力間違い、旧姓や家族名、濁点があったりなかったり、濁点が別文字になったていたり・・・)、意図的なのか、たんなる間違いなのかわからないが、金額も多少上下することさえある。

    マッチングの不確定さと例外処理の発生で、わずか数十件の入金照合でさえ混乱し無駄に時間と労力が消耗することも多々。毎日数百件の入金照合が必要なら、もはやちょっと専任の担当者がいないと苦しいかもしれない。

    大手通販会社さんなら毎日数千件、数万件の消込をされだろうから、どうされているのか、どんなノウハウがあるのか知りたい。

    扱うモノがお金だけに企業もお客様も正確さを求められるが、カンで「若干数円少ないが、おそらくこのお客様の分」とファジーに判断することなど日常茶飯事。厳しい会社なら電話で顧客に個別問い合わせもなされていることだろう。

    仮にファジーコンピュータがあって、ファジープログラムが適当に判断してくれる凄い時代が来たとしても、おそらく「消込」にはまるで役立たずのはず。

    さらに、今でこそインターネットバンキングも普通ながらが、わずか10年前まではそれすらなかった。オンラインでできなかった頃は担当者が銀行窓口に行ってATMで通帳に記載していたらしい。

    こんな一例に触れると日本の経済力がアジアの小国に次々と凌駕されていこうとする今日の惨状も仕方あるまいと観念しかける。

    入金情報は今となっては氏名(銀行によって全角・半角カタカナ不統一。濁音の扱いも統一されていない模様。初期のイーバンクは漢字氏名入力を認めてくれていた。あれはよかった)の入力を廃止し、それに代えてネットショップが個別に発行する取引ID、たとえば8桁や10桁程度の半角数値を取引情報のベースにし、銀行間のデータを渡しも強制的に半角英数字で統一されれば「消込」作業は安全で確実な自動化できる。

    「消込」の自動化は日本全国の企業に及ぶので経済の効率化も大きいように空想するが、大銀行さんのモンスターバンキングシステムと、銀行間決済システム「全銀システム」はその巨大さ・プレイヤーの多さゆえ、問題は技術的な話ではなく政治的な話だろう。

    これもよくあるニッチもサッチもいかない政治問題と似ているかもしれない。

    消費者に氏名に代えて取引IDの入力を求め常識として定着させることも、そこに到達するまでの文化的な環境整備の負担を考えると銀行さんの腰が引けるのもわかる。

    政治的問題にしても文化的な問題にしても、私たちの日本国はいろいろな分野でシステム全体が斜陽化し始めている印象は拭えない。






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