McDonald's27, money-gathering machine
★マクドナルドを世界最大のレストランに発展させたレイ・クロック(Ray Kroc)の著書『GRINDING IT OUT』(紡ぎ出す)から抜粋。現代資本主義型ブランドのケーススタディ。(20203040)

起業家にとってIPOを行うことの意味(2013/07/19)

The reason for going public, in addition to raising capital for the company was to give us some funds ourselves. We had put this tremendous money-gathering machine in motion, and it was running at a fantastic rate.


IPO(株式公開)の本音


さらりと書かれているが、ベンチャー企業がIPO(株式公開)を目指す本音だろうか。IPOの目的は会社のための資金調達とばかり思われがちだが、実際にやったことがない人が考えがちなことかもしれない。


投資者にとってIPO(株式公開)は目標点だが・・・


ベンチャーキャピタルや投資機関にとってIPOは完全な到達点・目標であり、その時点で活動は概ねクローズする。EXITだ。しかし、起業家本人にとっては一つの通過点でしかない。IPOが不要な起業家も少なくない。

なぜなら、株式公開には会計に関する大量で厳格なペーパーワークが求められるし、本業以外の無関係な部分で規制も制限も増える。株主が増えれば企業の活動方針に関して、横槍を入れてくる連中も増える。最悪、合法的に乗っ取られるリスクさえ発生する。

このようなリスクや面倒があってもなおIPOを目指す人々の本音は、感覚として今まで理解していなかったので、この発言は私には新鮮だった。

IPOが会社の資金調達と、創業者の利益確保の二つの意味があって、どちらの比率が高いかは、創業者ごとに異なるだろうが、仮にIPOを完全に会社の資金調達を第一目標としている起業家にしてみてもIPOで舞い込む利益はマジックだろう。

IPOが成功すれば、創業者は巨額の利益を確保でき、お金の心配から解放され、自分自身、投資家階級に上がることができる。今ではかなり古い考え方だが、仮に社会が「資本家」と「労働者」という階層からできているとしたら、資本家の階層に入れたことを意味する。

IPOのこういう意味は、ベンチャー起業家にとって当たり前のことだろうが、レイ・クロックがここで改めてわざわざこの解説を記述する意味は、彼自身もこの段階まで理解していなかったと推測される。


現代資本主義の集金マシン


レイは現代資本主義の「money-gathering machine」(集金マシン)を目撃した。このマジックを教えてくれたのは、おそらく創業時からの同僚ハリー・ソンボーン。

しかし、わずかこの数年後、自らmoney-gathering machineを導入したハリーは、レイとの対立から、その恩恵を充分に受けることなく会社を去ることになる。人生の皮肉さも目撃することができる。

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  • (2013-07-19 07:57:17)

McDonald's26, blindfolds had been removed
★マクドナルドを世界最大のレストランに発展させたレイ・クロック(Ray Kroc)の著書『GRINDING IT OUT』(紡ぎ出す)から抜粋。現代資本主義型ブランドのケーススタディ。(20203040)

価値あるマスパブ。リスクを覚悟して本当に討ち死にする人、続出のテレビコマーシャル。それでも10%程度の企業人には、やはり価値がある(3013/07/16)

It demonstrated precisely how an ad campaign would repay its cost many times over, while failing to spend the money would cost us much more in the long run. Nick was successful, although Harry went along very reluctantly. The advertising campaign we put together was a smash hit. It turned Californians into our parking lots as though blindfolds had been removed from their eyes, and suddenly they could see the golden arches. That was a big lesson for me in the effectiveness of television.


マクドナルドの初テレビコマーシャル


マクドナルドのテレビコマーシャルについて。初テレビコマーシャル・デビューは、1963年かそのすぐ後。Youtubeに1960年代のマクドナルドのTVCMがアップされている:

1960s - compilation of McDonald's Commercials From The 60's

http://www.youtube.com/watch?v=OrHQyoKSD8w


知名度向上のCM


このビデオの最後の白黒CMが、最初のものかもしれない。現在のCMと違って商品説明が中心である。

初期のCMは全体的に「ゴールデンアーチ」と「McDonald」のロゴ刷り込みが強調されたCMである。現在のように誰もが知っているマクドナルドではなかったので、まずは「知名度向上」戦略がベースのようだ。


「子供」を取り込む凄い先進性


しかし、驚くべきことは、ごく初期からターゲットを子供に絞っている点。日本マクドナルド創業者の藤田田にも受け継がれた伝統が、ごく初期の段階から見て取れる。レイは別のところで、子供は友達を連れてくるし、両親や祖父母を連れてくると言っている。


「子供」を夢中にさせたロナルド戦略


また子供の頃にハンバーガーに親しめば一生の顧客になる。子供はロングスパンで考えればダブルにおいしいビジネス戦略。マクドナルド・キャラクターのロナルドが、ごく初期の段階から出演している点も、今では月並みなアイデアかもしれないが、大成功の要因と思われる。

こんへんはアップル社も熱心だが、こういう古い時代から半世紀もブレることなく継続していることが現在の強力なマクドナルド・ブランドの礎だろう。


カネを使え!


今日の本文中で、レイの価値観をよく示す一文が見える:

failing to spend the money would cost us much more in the long run
(お金を使わなかったとき、その損害は結局、もっとお金がかかることになる)

最初のTVCMへの投資金額は18万ドル。現在の価値にして2億円程度。純益が当時20万ドル程度と推測されるので、1回(シーズン)のCMが年間の利益が吹っ飛ぶ計算になる。まさに社運をかけたCMということになる。広告費用の捻出方法として広告代理店は、15セントのハンバーガーを16セントにするというアイデアを提案。しかし、値上げなしてレイは実施する。


16セントか15セントか、経営者のカンが冴える


私は16セントでもよかったのではないかと思う。そして、それでも成功したように思うが、レイが15セントにこだわった理由は、記述がなく、そのへんはよくわからない。企業人としてのカンや本能だったかもしれない。

しかし、社運がかかわるリスクを軽々とやるレイの覚悟は見て取れる。株式公開前というタイミングもリスクが取りやすい環境だった。信長のようにどこかでリスクを取らない限り、smash hit(奇跡的な大成功)は生まれにくいという教訓に思える。


インターネット時代でも価値があるTVCM


現在TVCMは、この時代ほどの効果は期待できない時代に来ている。インターネットが出現しメディアが細部に多様化したことも大きいが、人々の価値観の多様化も大きい。

しかし、現在でもTVCMは、無限チャネル化し消費者が薄く広大に拡散したインターネットと比較すれば、やはり大きなインパクトをまだ残しているように思う。

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  • (2013-07-15 07:03:02)

McDonald's25, I want nothing but a good product
★マクドナルドを世界最大のレストランに発展させたレイ・クロック(Ray Kroc)の著書『GRINDING IT OUT』(紡ぎ出す)から抜粋。現代資本主義型ブランドのケーススタディ。(20203040)

レイの現在的ビジネススタイルがわかりやすいエピソード(2013/07/14)


I want nothing but a good product


"Listen, Harry, you don't know me, so I am going to forgive you for that," I said. "But let's get this straight, once and for all. I want nothing from you but a good product. Don't wine me, don't dine me, don't buy me any Christmas presents. If there are any cost breaks, pass them on to the operators of McDonald's stores."


高潔の人?


レイのビジネス感覚が現代的であることを示すパート。Ray Kroc Quotesとして引用する人が多い部分。ただ、レイ・クロックがマージンやキックバックや袖の下(賄賂)などを受け取らない高潔な人だと判断する人も多いかも知れない。そういう人だったかもしれないが、ビジネス的にはもっと違う解釈ができる。


アメリカにも残っていたムダな袖の下慣習


ビジネスの本質とは無関係であるキックバックや賄賂に時間・労力・体力・思案・お金を消費することはムダでる。その辺を彼は理解していた。

現代でこそ当たり前の考え方だが、この時代のアメリカでは賄賂の類は比較的当たり前の慣習だったと思われる。ここに登場する取引先のハリーは実際、今までそういう取引を行っていた。

experience there had taught him that customers often gave him an account because they wanted something extra, a sign, a clock, a coffee urn, or some such thing.

レイがカリフォルニアでマクドナルドを本格展開し始めると、食肉業者の組合から賄賂の要求があり閉口した話もどこかにあったが、アメリカも先進的に見えながら、わずか数十年前は比較的、古風な慣習が残っていたようだ。


巨大な注文を出すレイの小さな事務所


ところで、プレゼントの類は不要と言われたハリーだが、彼はレイの事務所に踏み入れたときその狭さに驚いたという描写もすぐ近くにある。ビッグなビジネスをもたらすレイに驚いた瞬間と思われる。

今日のパートは、ビジネスの本質を追究していたレイの現代的なスタイルをわかりやすく感じ取れるエピソード。

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  • (2013-07-14 09:36:22)

McDonald's24, free of their hold on me
★マクドナルドを世界最大のレストランに発展させたレイ・クロック(Ray Kroc)の著書『GRINDING IT OUT』(紡ぎ出す)から抜粋。現代資本主義型ブランドのケーススタディ。(20203040)

マクドナルド兄弟との別れ(2013/07/09)

Mac and Dick were beginning to get on my nerves with their business game playing.

I wanted to be free of their hold on me.

their lawyer would only waste a lot of time bickering about it.

So I called Dick MacDonald and asked him to name their price. After a day or tow he did, and I dropped the phone, my teeth, and everything else.


別れは時間の問題


レイとマクドナルド兄弟との関係は当初からうまくいっていなかったので、別れは、時間の問題だった。

終わったことなので、どうにもならないが、少しでもこの決別を遅らせればマクドナルド兄弟の利益は莫大になっていたことを思うと、ここにも教訓を感じる。実はマクドナルド兄弟の方には、健康問題もあり急ぎたい事情もあったと推測される。


トップ同士の直談判


当時のマクドナルドの純利益(net profit)は、10万ドル前後と推測される。現在の価値で1億円程度。創業数年で1億円の利益を出す会社ってそう多くだろう。

凄い成長力があり、The Continental Illinois National Bank(コンチネンタル・イリノイ銀行、1984破綻)の頭取りがマクドナルドの成長力を見抜けずレイに非礼な態度を取ったことは今から思えば失策だっただろう。

レイは、マクドナルド兄弟の弁護士と話していても時間の無駄と判断し、マクドナルド兄弟に直談判の電話をする。

「name the price」(金額を言ってくれ)

金額を聞いて、歯を落としたという驚きの要求額は、2.7百万ドル、現在の価値で27億円程度か。

1億円の利益を出している会社にしてみれば30年分の利益が吹っ飛ぶわけで、驚くことには間違いないが、本能的な反射か、レイには、いつも交渉中の相手の提示金額に驚いてみせるクセがあるようだ。内心、そこまで驚いていなかったと思われる。


金融と資本主義型ブランド


多彩な金融商品と金融テクニックがある現在では当時ほど驚く金額ではないかもしれないが、確かに当時の金融常識では不可能に見える額だったに違いない。

もちろん、この金額を解決した手法も金融であり、こんなところにもマクドナルドが普通のハンバーガー屋さんではなく、現代資本主義型ブランドの萌芽を内包していた。これは相棒のHarry Sonnebornの貢献が大きいだろう。

ハンガーバーはビジネスのテーマではあるが、ある意味、ブランドの単なる一媒体でしかない部分も否定できない。

全編を通して、レイはハンバーガーそれ自体に対して驚くほど何も書いていない点も納得がいく(ただし、フライドポテトに関しては丁寧に書かれている)。

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  • (2013-07-09 06:10:16)

McDonald's23, deserve to go broke
★マクドナルドを世界最大のレストランに発展させたレイ・クロック(Ray Kroc)の著書『GRINDING IT OUT』(紡ぎ出す)から抜粋。現代資本主義型ブランドのケーススタディ。(20203040)

レイ・クロックのアントレプレナー・スピリット(2013/07/08)

The thing that has made this country great is our free enterprise system. If we have to resort to this - bringing in the government - to beat our competition, then we deserve to go broke. If we can't do it by offering a better fifteen-cent hamburger, by being better merchandisers, by providing faster service and a cleaner place, I would rather be broke tomorrow and out of this business and start all over again in something else.


行政には頼らない独立心


フランチャイジーの一人が、担当地域の競合他社による攻撃についてレイのもとに相談にやってきたときに言った内容。

不当廉売・ダンピングは、明らかに競争法(federal tarade regulations)違反なので、訴訟に持ち込みたいという相談に対してレイの返答は「お上に解決してもらわなければいけないくらいなら、破産した方がよい」。

なかり気合いのこもる内容だが、レイ自身、自分で言いながら自分の言葉に酔いしれている風情も感じられることは、この前後の文章を読むとわかる。


アメリカ人の価値観


いつもこの精神が100%実施されてきたかどうか、それはまた別の話だろうが、少なくともレイ自身がそういった価値観を持っていた。

政治家に頼らない、行政には頼らない、国家には頼らないという力強さ、いわば開拓魂ともいえる精神は、ベンチャーマインドだし、アントレプレナー精神だ。

こういう独立心はアメリカ人が共有する価値観と思われる。西部開拓魂が育んだ魂なのだろう。このスプリットはビジネスにも受け継がれている。


日本のアントレプレナー精神


日本では「どうやって国から救済してもらうか」「どうやって補助金をもらうか」という話は多いが、アントレプレナー精神は、日本の文化の中では欠落しているようだ。戦国時代までは旺盛だったように思えるが、どうなってしまったのだろう。


企業家精神と役所精神は相容れない


ちなみに、レイは自分は政治家に向いていないと別の章で述べているが、そうだと思う。企業家精神と政治家のそれとでは、かなり価値観が違う。嫌いな行政やお役所に関わることもレイには不愉快だったと推測される。

ここにもアメリカン・スピリットが漂う。

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  • (2013-07-08 12:16:56)
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