McDonald's31, he was so certain
★マクドナルドを世界最大のレストランに発展させたレイ・クロック(Ray Kroc)の著書『GRINDING IT OUT』(紡ぎ出す)から抜粋。現代資本主義型ブランドのケーススタディ。(20203040) 今日は、ハリーの判断ミスとブランドの独立性。(2013/07/24)


誤算だった株価


社内No.2のハリー・ソンボーン所有分の株価総額は、辞職時に数億ドル。この本が書かれた1970年代後半において100億ドル程度に価値が上がっていたということなので、もし現在まで売らずに持ち越していたら1,000億ドル、日本円で10兆円くらいになっているかもしれない。

現在のマクドナルド社のNYSEにおける株価は概ね100ドルだが、今までにどれくらい株式分割がされたかわからない。10兆円といってもありうる話かもしれない。わずかな判断ミスで10兆円の資産が吹き飛んだことになる。


自分が去った後、マックの株価は急落と確信したハリー


Harry had substantial chunk of McDonald's stock, but he was so certain the company would go down the chute when he left that he sold it all. He wanted the money, I'm told , to go into the banking business in Mobile. But it is a shame, because although the sale gave him a few million of dollars at the time, the stock subsequently had a series of splits that made each share worth ten times as much. had he kept it, his stock would be worth over $100 million. So his lack of faith in us was very costly for him.


ハリーはマクドナルドを金融に向かわせた最大の功労者


ハリー・ソンボーンは、自分がマクドナルドを去ることで、マックの株が急落すると確信していたとレイは言う。これはレイの推測であって、今となってはハリーの本音はわからない。

もしハリーが本当にそのように考えていたとしたら、ハリーはマクドナルドのブランド力を見誤っていたことになる。もしくは、自分の影響力を高く評価しすぎていたかもしれない。

ハリーは、マクドナルドをハンガーバー・ビジネスから金融ビジネスに転向させた功労者であり、マクドナルドの爆発的な成長の一番の功労者である。それをニューヨークやシカゴの金融機関はよく理解していた。

そして、ハリー自身、それを意識しすぎたかもしれない。


ブランドは功労者とは無関係に一人歩きを始める


功労者が誰であろうと、いったん立ち上がったブランドは一人歩きを始める。そのブランドの立役者や功労者は、まるで誰もいなかったように存在しうる点がブランドの不思議な性格だ。

ブランドにとって、個人名に起因するブランドでない限り、誰が生みの親で、誰が育ての親か、それほど意味はない。それらのブランドは、映画スターと違って個人に帰属しない。だから、売買の対象にもなりうる。

それは人々の心理に起因する根深い問題に見える。ハリーが去った後のマクドナルドは、まるでハリーなど存在しなかったように成長をし続けた。ハリーには大きな誤算だっただろう。


レイに関わった人々のジンクス?


「モービルの地で金融ビジネスに参入するためにカネが必要だった」(He wanted the money, I'm told)と話されたとレイは現在形で説明している。これは、ひょっとしたらその10年後のパーティで再開したハリーが言った言い訳かもしれない。

ハリーはおそらく金融ビジネスの天才だったと思われる。しかし、天才が報われるかどうかは、また別問題という事例を示している。

マクドナルド兄弟といい、ハリー・ソンボーンといい、レイのビジネスに根本的に関わった人々には、気の毒な人が多いようで、印象に残る。

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  • (2013-07-24 09:07:05)

懇願と同情、懇願マーケティング

助けて!と店長に明るく懇願されたら?


「倒産しそうです、助けてください!」と書かれたチラシや張り紙を見ることがある。当然、深刻な内容ではなく軽快な語り口は、じゃ、○○はこの店で買うか、と思わせるもの。


チープなお買い得情報はもはや意味がない


チラシに織り込むべき情報とは、通常顧客メリットの訴求だが、多少、安かったり、ほしくもないおまけが付いてくる程度では、お得情報が氾濫する現代の消費者の心にはもはや届かない。逆にチェリーピッカーを活性化させるだけのリスクの方が高い。


関係強化にもつながる懇願マーケティング・同情マーケティング


そんな現状で、店長が「助けて欲しい!」と語りかける手法はおもしろい。

心理学では、人助けをすることでさらに好意が増すとされるし、好意がなくても人助けをすることで、逆に好意を抱くようになることは誰にでもある体験ではないかと思われる。


1度キリしか使えない同情マーケティング


他人からの同情をベースとした同情マーケティングは、長期の一定期間内の特別な状況下で1回だけ使える手法。

繰り返すとそのたびに効果が薄れるだけでなく、むしろ嫌悪されるようになるマーケティングでもある。特別な機会にしか使えない。だから、結論としてマーケティングではない。


友好関係がないとできない懇願マーケティング


「懇願マーケティング」というコトバが存在するのかわからない。ちょいと検索してもこのブログくらいしかでてこないので、一般的なコトバではないようだ。

仮にあったとしても定義もあいまいだろう。そこで、私がイメージするこのマーケティングは、上下関係が発生する同情マーケティングよりも、対等なリレイションシップをベースとしている点が特徴。その上で「こうして欲しい」を明示的に相手に示すことかな。

信頼関係と友好関係。これがベースとなる。



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  • (2013-07-22 12:21:10)

McDonald's30, letting the need ripen
★マクドナルドを世界最大のレストランに発展させたレイ・クロック(Ray Kroc)の著書『GRINDING IT OUT』(紡ぎ出す)から抜粋。現代資本主義型ブランドのケーススタディ。(20203040) 今日は、対立前夜の話です。


走狗煮らる


この部分は中国の有名なことわざ「狡兎死して走狗煮らる」を彷彿させる。ベンチャーの成功とそのすぐ後に訪れる経営者内での対立は歴史的に繰り返される光景であり、避けがたい宿命だ。

最終決着は、この後の章で語られるが、ハリーがレイほどの心構えでこの決着を迎えたとは思えない。あっさり辞職に追い込まれる事実は、健康上の問題があるにせよ、ハリーの政治的準備はやや手薄だったように思われる。

それだけでなく、ハリーは辞職に際して大きなミスを犯すことになる。


最終決着の時は近い


The time was coming that we were going to have to make a major change in the appearance of our buildings. But I was biding my time, letting the need ripen, because I knew that this was going to mean a big battle between Harry Sonneborn and me. I could smell it coming, and I wanted to be ready for it on every front when it happened.

株式公開後の膨れ上がる需要に応じてドライブイン型スタンドからカウンターとテーブルを設置したレストラン型へと変化してく店舗スタイル。店舗の基本的なコンセプトを見直す時期が来ていた。しかし、部下の提案に対して同意しなかったレイの内心が綴られている。


社内の政治対立


「時機が熟する時を待った」(biding my time, letting the need ripen)

レイは性格的に決めたことはすぐに実行するタイプで、部下にもそれを求めた。多少の失敗よりスピード重視・実行力重視タイプの男だった。

しかし、創業時からの同僚ハリー・ソンボーンとの対立に関しては、極めて慎重と言える。まず、対立の日が近いことを認識(smell it coming)しており、準備を進めて(ready for it)、時を待つという態度。

これはハリー・ソンボーンの功績があまりにも大きく、レイのポジションさえ脅かす存在になっていたことが背景にある。

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  • (2013-07-22 06:01:30)

McDonald's29, I knew we were worth more
★マクドナルドを世界最大のレストランに発展させたレイ・クロック(Ray Kroc)の著書『GRINDING IT OUT』(紡ぎ出す)から抜粋。現代資本主義型ブランドのケーススタディ。(20203040)

今日は株式公開時の売り出し価格を決める場面(2013/07/21)

Our biggest argument with the underwriters was on what the initial selling price should be. We had split the stock a thousand to one by that time, and the underwriters thought we should go out at seventeen times earnings. I wouldn't stand for that. I knew we were worth more, and I stood to lose more than anyone else if we went out too low.

IPOにおける初値の決め方はわからないが、この文章によると株式発行を行う幹事証券会社の主張は「収益の17倍」でレイは「それは安すぎる」とわかっていたと書かれている。

ここで言う「収益」が粗利か経常利益か、純利益かわからないが、収益に応じたちょっとしたガイドラインのようなものがある模様。

レイたちマクドナルドにしてみれば、なるべく高く売り始めたいところが人情だろうが、高すぎて買い手が付かず賑わい感がなければ、その後の相場に盛り上がりが欠けるし、最悪売れ残れば、むしろ悲惨と言ったところか。

IPOの初売り出し価格の意味とその決め方は、ちょっとよくわからない。とってもアナログ的でエイヤー的な世界に見える。

結局、レイは幹事証券会社の主張より高く20倍以上に設定し、一株あたり22.5ドルではじめ、その日のの終わりには30ドルの買い越し(oversubscribed)、一ヶ月後には50ドルを超えた。

現在、日本でIPOされる銘柄は初日で、公募価格の2倍や3倍どころか、10倍という例もあり、マクドナルドの22.5ドルが30ドルで終了した例は驚きに値しないように見えるが、現在のIPOが派手になったのは2000年前後のITバブル以降の話であり、1965年のIPO事例としては大商い・大相場だったと推測される。

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  • (2013-07-21 10:51:27)

McDonald's28, a ritual to be followed religiously
★マクドナルドを世界最大のレストランに発展させたレイ・クロック(Ray Kroc)の著書『GRINDING IT OUT』(紡ぎ出す)から抜粋。現代資本主義型ブランドのケーススタディ。(20203040)

情熱が注がれたフライドポテト(2013/07/20)

the quality of our French fries was a large part of MacDonald's success, and I certainly didn't want to jeopardize our business with a frozen potato that was not up to our standard.
(マクドナルドの成功の要因は、間違いなくフライドポテトにあった!それで冷凍ポテトなどでこのビジネスモデルが崩壊するようなことは絶対にさせたくなかった)

冷凍ポテトの導入に関しての発言。創業当初ポテトは各店舗で皮むきが行われ、フライにされていたが、その手間暇はコスト的に犠牲が大きく、また処理された皮は細菌性汚水処理システムで処理されていたが、ヘドロのようなニオイが問題だったため、冷凍ポテトのメリットは大きかった。


開業当初から有名だったフライドポテト


レイ・クロックがマクドナルドの展開を始めたとき当初から有名だった製品はフレンチ・フライ(フライドポテト)と思われる。1960年代のマクドナルドのCMを見ると、何本かのCMで、「the famous French fries」と形容されている点も自信の現れと理解できる。

フライドポテトを黄金色に焼き上げることに情熱を見せたレイは、本書の中で何度となくフライドポテトについて熱く語っている。そして、フライドポテトをうまく作ることは「ritual」(儀式)とさえ表現していた。

Now, to most people, a French-fried potato is a pretty uninspiring object. It's fodder, something to kill time chewing between bites of hamburger and swallows of milk shake. That's your ordinary French fry. The McDonald's French fry was in an entirely different league. They lavished attention on it. I didn't know it then, but one day I would, too. The fry would become almost sacrosanct for me. its preparation a ritual to be followed religiously.


ほとんど語られないハンバーガー


フライドポテトへの自信と情熱とは打って変わって、ハンバーガーについては、ほとんど語られていない。それどころか、彼が自社のハンバーガーを日常的に食べていたかさえわからない。

はじめてマクドナルド兄弟に店に行ったときもフライドポテトには感動しつつ「そのとき、ハンバーガーは食べたか覚えていない」とさえ書いている。それはないだろうと感嘆させられた。

マクドナルド兄弟のシステムに感動しても、中身のハンバーガーの味には、あまり熱心でなかった模様。肉の脂肪比率を19%以下にしたとか、パテイの重量を10分の1ポンドに決めて、それがすぐに業界標準になったなどの話は出ているが、味や調理方法、肉の仕入れなどはほとんど書かれていない。

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  • (2013-07-20 16:31:21)
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