風評被害を起こす人々、ブランドの守り方
ネットビジネスでは、風評でビジネスが打撃を受けるリスクあり。それをサポートしてくれるサービス会社もあるが、防衛は自社やっていく覚悟が必要ではなかろうか(2013/04/01 小平探検隊)


恐怖を煽る人々


先週、会社のポストに郵便物が届いていた。風評被害対策サービスのパンフだった。

1枚の用紙には、貴社は「2chでウワサされています」という趣旨の説明とその2chの原文コピーが添付されていた。不愉快な気持ちになる。2chに書かれていたことよりも、恐怖を煽るこのベンダーの恐怖ビジネス的なやり方が不快だった。

※ちなみに「恐怖ビジネス」というコトバはないかもしれない。ネットを検索すると「恐怖喚起ビジネス」や「fear arousing communication」という心理学用語が見つかった。


需要がある風評対策サービス


インターネットでビジネスをしている人々にとってネット内の誹謗中傷は実にやっかい。本当に悪事をしているなら非難される理由もあるが、憶測で中傷する人や意図的に破壊工作をする人や競合他社もある。

ネットの風評被害対策サービスは需要があるだろうし、そういうサービス会社やベンダーが存在してもおかしくない。

中国は数万人規模の政府系対策チームが存在し、日々反体制派の意見や情報の封じ込めと世論誘導を行っていると言うが、それは中国人も信じる事実ではあるまいか。

多くの企業でも、多かれ少なかれ、ネット対策チームが存在し隠密に活動していると思われる。

私がかつて数年間、働いたある千人規模の会社では、マーケティング部内に10人程度のネット対策室があり、掲示板などで書き込まれるネガティブな意見に対するカウンター記事の投稿や封じ込めを行い、一方で自社製品に対してヨイショ記事を展開しているというウワサだった(でもこの会社はちょっと危ないところもあったので、一般的な企業より露骨かもしれない)。


攻撃者のプロフィール


攻撃者はいくつかのグループに分かれる:

・純真無垢型・・・Facebookで友人の酒乱写真を考えずにアップする人々のように悪意はないが、他人や企業の秘密や失態を軽い気持ちで公開するやりきれない人々。おバカさんが単独でやってしまう傾向にある。

・怨念型・・・憎悪や嫌悪といった感情に起因する攻撃。特定の他人や特定の企業・団体などをターゲットに攻撃するが、ストーカー型のような変質的な行動には走りにくい。

・ストーカー型・・・愛情と憎悪の複雑な感情に起因する攻撃。相手を困らせること、恐怖を与えることを目的とする。不合理で精神病的な行動を行う人々。社会的には受け入れられないので個人単独で行動することが多い。破壊力は一般に致命的ではないものの、ちくちくじわじわといつまでも粘着する。

・個人的な破壊工作型・・・政敵や経済利権獲得のために個人や競合企業をターゲットに破壊工作を行う人々。感情に起因する怨念型やストーカー型と違って、目標が明白で計画性がある攻撃。

・野次馬型・・・個人や企業が、何か事故・事件・不祥事や失態などを起こしたとき、機敏に集まってきて、いろいろ言い合って面白半分に憂さ晴らしをして帰っていく人々。往々にして正確な事実関係を知る努力もせず、裏を取ることもなく何でも言う。しかし、野次馬型は、そもそも当事者ではないため関心は持続せず、一通り言い合った後は、雲散霧消する。本人たちはには悪意があるわけではなく、事件に対してそのときどきの素朴な心の吐露を行っているだけの場合が多い。さんざん言い合った後、ネットでは記事だけが残骸として大量に残されるが、これが永久に残り、また拡散するためにリアルな世界では、それほど有害ではない野次馬型もネットでは厄介な存在。

・組織的な破壊工作型・・・ターゲットの破壊やイメージダウンを目的とする攻撃者。政敵や経済利権獲得のためにライバルや競合企業をターゲットに破壊工作を行う人々。資金力や組織力があるため敵にされると手に負えない。ただし、カネがかかる対策であり、カネに見合わない活動は行われないといったように、行動の理論がカネで換算されるので、対策や交渉による解決や和平の道が残されている。


純真無垢型の対策


企業ならば社員や内情を知る立場にある人々。ちょっとしたお小遣い稼ぎに「誰も困る人はいない」と軽い気持ちで顧客情報を売り飛ばす社員はどんな企業にも少なからずいる。昨今多発する個人情報流失事件の一部は、このような純真無垢型の人々によって起こされている。

軽い気持ちのお小遣い稼ぎが、顧客にも会社にもインパクトがある行為であることがわかれば、わずかなカネのために進んで悪事を働く人は、ほとんどいない。そのためこのタイプの人々には社内教育やセキュリティに対する「常識作り」の環境が重要。日頃、社内で情報管理の大切さを話し合っておくことでかなり未然に防げる。


怨念型の対策


これは誰かの恨みを買ったことが原因なので、ひたすら他人の恨みを買わない行動を心がけるしかない。企業の場合は、顧客・取引先・関係者すべての人に対してフェアな取引をするだけでなく、個人の言動・態度も相手に対して礼節ある態度・行為が重要。

そういった態度を全社員が学び共有することが対策になる。

たとえば、昔、米軍FENラジオを聞いていた時期がある。番組の合間に「日章旗を見るときは、敬意を込めて見上げよう」というメッセージを繰り返し流していた。

日章旗の話だけでなく駐留外国軍として現地の人々とやっていくためにいろいろ教訓や教えが、楽しいメッセージ広告(スポット・アナウンスメント)として時折盛り込まれていた。こうやって道徳や規律を教育するのか感心した。

日本だと銀行マンなどは、企業文化としてこの種の態度が身についている。慇懃(いんぎん)すぎる物腰が、逆に不自然ではあるが「誰からも恨まれないための努力」の長年の結果、生まれた不文律文化ではなかろうか。


ストーカー型


深い憎悪と複雑な感情に起因するものなので、当方がスーパースターや有名芸能人のように相手の心理に対して深い影響力を与える存在でなければ、心配するような事態は起きない。よって、平均的なビジネスマンが心配するタイプの攻撃ではないにしても、心がけとしてすべての人に

「同じ態度」

で接し、企業運営ならすべての顧客・取引先に対して

「同じサービスレベル」

を維持することで個人的な深い憎悪や哀惜の感情を醸成するリスクは少なくなると予想される。すべての人に同じ態度で、同じレベルのサービスでフェアな精神で接する態度が重要。


野次馬型


野次馬型の特徴は、リアルな現場に居合わせた人か、誰もが知っている著名人や有名企業をターゲットとする人々の集団。無名の個人や企業は野次馬の攻撃対象にはなりにくいが、日頃から、公明正大を心がけ人様に後ろ指をさされるような行為をしないことだろうか。


個人的な破壊工作型・組織的な破壊工作型


企業運営者なら、ライバル企業から攻撃される可能性は常に存在する。これは商戦なのだから、フェアな精神や心がけなどでは回避しがたい。現代の戦争と言ってもよい。

この種の攻撃には、専門の対策チームによる防衛やカウンター攻撃が必要。自分にとって未体験ゾーンなので、ここで議論しても笑いものになるだけだが、基本は防衛と思う。攻撃者は、いつも攻撃の口実を探しているので対策はシンプル。

「口実を与えない」

これに尽きる。攻撃者に、口実を与えかねない言動・行為・取引・操作などは慎みたい。


微妙な構図の風評対策サービス会社


ウソやデマをでっち上げて攻撃される場合、社内に専門的な対策チームがないとしたら、外部の風評被害対策サービス会社などに依頼することもありかもしれない。

ただし、この種のサービス会社は、クライアントが攻撃されることが、すなわち、そのクライアントがより多く払ってくれることへの最強モチベーションだけに、微妙な構図になっている。

当然、怪しげな風評対策会社なら、自作自演のトラップを仕掛けてくることも容易に予想されるので、安易な取引が逆に命取りになりかねない。


最強最善の防衛策(長期的な)


・ファンの育成。育成といったコトバを使用するのは、ファンに失礼な話だが、マーケティング用語として使われているのでお許しいただきたい。要は最終的にそのブランドや企業を守ってくれる人々は、そのブランドを体験したり、企業との個人的な接触体験がある人々である。事実を知る人々をいかに多く増やすかは、ビジネスの拡大だけでなく防衛にも貢献する。

・責任者その人の姿。運営者が表に現れ、そして、人々に語りかける姿勢。人々が信じるのものは、そのブランドや企業の責任者の人格であり、容姿であり、声であり、語る姿であり、体を張って状況に向き合う姿勢。匿名で量産されるデマを封じ込める切り札は、最終的に逃げも隠れもしない人間の姿しかないように思う。
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  • (2013-04-09 06:14:51)
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